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2012年 09月 08日

今住んでいる町の

地元の人しか来ないような、駅前の小さな小料理屋に入ってみる。
古くてこざっぱりとしたのれんをくぐると、カウンターにいた先客の男性が、
「おかみさん、お客さんだよ!」と声を張り上げる。
よっこらしょといった風情で、髪をキリッと結った女性が、
「まだそちら片づけていないけれど・・・お好きなお席へどうぞ」と、
さっぱりとした口調で案内してくれた。
渡されたメニューを眺めると、たぶん昔から普通の家で出されているようなスタンダードな品々が多く、
そういうものに馴染みの薄い私は、とーぜんクラッときてしまう。
まずは湯葉刺しと焼茄子。それと冷酒を一本。
よく焼きこまれてトロンとした茄子の実に箸を入れると、
じゅわっとスモーキーな香りがほのかにあがる。
ふわっと心が温まる。
「じゃが芋の唐揚げ」という名のほっくりとしたポテトフライや、
「おまかせ寿司」についた淡い黄色の卵焼き。
「どれもこれもおいしーね」と、二人で肩をよせてささやきあっていると、
カウンターの中にある、小さな木製の写真立てに目が留まった。
すこしはにかんだ笑顔の男の人。年の頃はまだ40代だろうか。
女将さんの旦那さまの若かりし頃の姿かもしれない。

〆のお蕎麦も頂き、さてそろそろ、という頃合いに、女将さんがスッと近寄ってくる。
自己紹介も兼ねたこのお店の話や、この町の話。
町の夏祭りには行ったの?とか、
以前は夏に家に親戚が来たりすると、出前を取ってくれる人が多かったんだけどね。
今は二つ隣町の都会まで食べに連れてっちゃうみたいだね。とか、
この店の三代目である女将さんは、時代の流れを否定すこともなく、
ゆったりとした顔つきで、淡々と話をしてくれる。
そして、写真の男性は、息子さんだという。
二年前に癌でなくなった、と。
少し冷酒がまわってきたのか、かぁっと頭の後ろが熱くなってしまったけれど、
不思議と、穏やかな気持ちだった。
「人生が欲しい」と思ってた時期もあったけれど、
今は自分の人生を受け入れたいと改めて思いつつ、席を立った。
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これは仕事先で購入した茄子と丸ズッキーニとトマト。
そろそろ自分の畑でも茄子が採れるだろうから、そしたら焼茄子を作ってみよう。
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by ideakico | 2012-09-08 22:09 | 雑記


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